2018年2月17日土曜日

第2回県民健康調査課との話し合い報告

2月14日午前、古市三久県議会議員の仲介による、第2回県民民健康調査課との話し合いが設けられました。
ひだんれん、「いわきの初期被曝を追及するママの会」、子育て中の福島市の母親たち、郡山市、二本松市からも参加があり、約1時間、県民健康調査や甲状腺検査のあり方などについて話し合いました。

1月26日の第9回甲状腺検査評価部会で、検査の見直しに向けて具体的な作業が始まり、今後、検査のデメリットをリスト化した上で、同意書の取り方などを見直し、検討委員会に提言するということですが、「学校での甲状腺検診はこどもの人権問題」や「過剰診断」など、甲状腺検査の縮小を危惧させるような発言があったことで、福島県民の声を無視した進め方に危機感を持ち、急遽、要請書の提出と話し合いを設けたものです。

県民健康調査課は今まで通りのやり方で、4巡目の甲状腺検査を行うとのことですが、検討委員会や評価部会に対しては、県民の側に立ち県民の健康を守るためにリーダーシップを発揮してほしいと、第1回に続き今回も強く要望しました。

第2回県民健康調査課との話し合い報告はこちらをクリック

第9回甲状腺検査評価部会 アワプラネットTV
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/2215





県民健康調査課との第2回話し合い報告      
2018年2月14日(水)11:00~12:00 県庁舎

<出席者>
古市三久県議
県民健康調査課: 鈴木陽一課長 福島主任主査、他スタッフ1名
ひだんれん:9名 いわきの初期被曝を追及するママの会:1名 郡山市:2名 福島市:2名 二本松市:1名 フリージャーナリスト:1名

始めにひだんれんの要請書といわきの初期被曝を追及するママの会の要望書を読み上げ提出する。

<ひだんれん要請書及び質問書>
https://drive.google.com/file/d/0Bw9-NJsCQLz9VVN1T0Ftbnd5SjFsamctTG9DeDZUTGtlY3Fj/view?usp=sharing

<いわきの初期被曝を追及するママの会要望書>
https://drive.google.com/file/d/0Bw9-NJsCQLz9dW1CSzRNNGoxc2pKN2k3ZFJyLUpYRHhuQ01J/view?usp=sharing

・Qは、ひだんれん、ママの会、その他の参加者、Aは県民健康調査課の回答です。
赤字は県が回答すると答えたものです

<学校検診について>
デメリット
Q:福島県は(評価部会で言われた)学校検診のデメリットの具体的な例を把握しているか。把握していたらその内容は。
A:評価部会でそのような話があったが、学校の現場からは負担が大きいと出ているが、検査そのものについては教育委員会からは出ていない。これまで通り、4巡目を実施する。
A:評価部会では検査の説明の仕方に問題があるとの意見が出ていたが、4巡目のお知らせとは切り離して考える。
Q:学校の負担が大きいとは、何が負担なのか?
A:学校の授業や行事の場所や時間を借りて検査を実施するため。
Q:養護教諭の負担が大きいと聞いていたが、その部分は国に手当をしてもらうべき。

同意、不同意
Q:3巡目から検査に同意する、しないのチェックをしてから送り返すことになっているが、同意しないとの項目があると、やらなくてもいいのかなとなりかねず、多くの母親からこのやり方はおかしいという声が上がっている。検査の拡充と長期的な継続を県として強い姿勢でやってほしい。
Q:福島の子どもたちには平等に甲状腺検査を受ける権利がある。親の希望により受ける受けないを決めるのではなく、被曝した子どもたちが定期的に検査を受けられるようにして欲しい。
A:検査の同意、不同意は医学倫理上受診者に説明が必要だと設けられた。これからも、同意、不同意は聞く。
A:県として検査の縮小に舵を切ってはいない。検討委員会でもそうなってはいない。

通知について
Q:検査の通知が遅い。うっかりして出し忘れることがある。出し忘れて検査を受けられなくなるのではなく、基本的にはみんなが受けられるような、さらにもう一歩進んだお知らせにしてほしい。
Q:県としてはみんなに検査を受けてほしいと思っているのか。
A:せっかくの受診の機会なので受けてほしい。

甲状腺検査を学校健診に
Q:甲状腺検査の情報を学校と共有しないのはなぜか?校長に聞くと自分の学校区に甲状腺ガンの子どもがいるかどうかも分からないとのことだった。他の症状に関しては学校では生徒の健康に関する情報は把握している。
子どもたちの健康管理をトータルに考えるのなら、福島県では原発事故があったので、甲状腺検査が学校健診に入っているのが当然の流れだと思う。
通常の学校健康診断に甲状腺検査を組み込めば、特別枠でやる必要はない。このやり方を検討してほしい。
Q:甲状腺検査は同意を取るのに、学校の健診は同意を取らないのは何が違うのか。
Q:検討委員の鈴木真一先生は、甲状腺けんしんは、木偏の検診ではなく、人偏の健診と言っている。つまり、特定の病気を早期発見するためではなく、健康状態を調べるためのものだとすれば、身長、体重を測ると同様に同意を取らずにやってもよいのではないか。
A:学校健診とはまた別の制度で切り分けられている。
Q:学校健診と一緒にやると合理的に行えるし、生徒や教師の負担も減る。受診率を上げるためにも、制度が違っても一緒にやるということができないか検討してほしい。
Q:先生の負担が大きいということだが、検診のための臨時職員を雇ってはどうか。
A:学校単位でいうと雇用の面でズレが出る。現場からそのような声が出れば検討する。
Q:友人が会津地方の甲状腺検査の介助の仕事を短期で行っていた。公募によって職を得ていた。検査時の臨時職員の雇用は既に行われている。

甲状腺検査の順番について
Q:甲状腺検査の順番についてはセシウム線量の高かったところから始めたと聞いている。小児甲状腺サーベメーターモニタリングの最高値は、いわき市の4歳の男児だったがいわき市が検査の順番が後になったのはなぜか。
A:そこはわからないので、後ほど回答する。

<節目検査(20歳以上の検査)>
節目検査を5年ごととした医学的根拠は何か。
Q:どのような知見からこのような制度設計をしたのか。
A:H23年に県民健康調査検討委員会で専門家が議論したうえで、5年に1回で大丈夫だろうという判断で実施した。
Q:当初は甲状腺ガンの発生は遅いとしていたが、実際は2年後には転移している状態だ。
浪江町は県がやらない年に町として検査をしている。また、いつでも申し込めば受けられる体制になっている。今は制度設計当時の前提が崩れている。2年に一度、20才以上は5年に一度では遅すぎる。子どもたちを守ろうとしたら、細かく検査をしなければならない。制度設計の見直しをしてほしい。
A:意見として伺っておく。
Q:2年に一度でも手遅れになっている事実があるが、それに対しては県としてどう認識しているか。
A:現在の県民健康調査の在り方については、検討委員会での議論に沿って実施する。
節目検査の結果の計上はどのような形でするのか。
A:節目検査はH29年から始まっている。結果については別途計上する。
Q:経過観察の人が癌になっても計上されなかったので、このようなことがないか心配だった。節目検査はどうするのか、確実に計上するか。
A:計上する。
Q:5年ごとの節目は必ず計上して発表するという確認でよいか。
A:提示する。
Q:5年ごとの節目検査で経過観察に回ってしまった場合は、2年ごとの検査と同じく数字が上がって来ないということか。
A:そういうことになる。
Q:県立医大が経過観察の調査に2年もかかると言っているが、早急に発表してほしいと県から県立医大に言ってほしい。

<安定ヨウ素剤について>
Q:事故当時、安定ヨウ素剤を配布せず、回収までしようとしたことに対し県の見解は。
A:私の課ではコメントできない。当時いろいろな状況と判断があったので、県としてのコメントはできない。
Q:三春町がヨウ素剤を配った後、県が回収しようとしたと聞いている。
  また、当時県立医大から県に要請があり、安定ヨウ素剤を4000錠、県立医大関係者に配ったと聞いているが、事実確認をしたい。
A:県としてどこが回答すべきかを回答する。
Q:県として把握している事実関係を含めて回答してほしい。
Q:いわき市が配布を決めたことに対して県がストップをかけたことも確認したい。

<検討委員会、評価部会の人選について>
Q:検討委員会や評価部会で委員が変わってから、過剰診断や学校での検診は人権侵害だなどということが浮上してきているが、県はどのように人選をしているのか。公平な人選をしているのか。
例えば、チェルノブイリ原発事故の後にWHOがヨウ素剤の配布指標を100ミリグレイから10ミリグレイに変えたとき、日本では100ミリグレイのままにしてWHOの指標を採用しなかった。その時の検討委員会にいた人が、現在の県民健康調査検討委員会や評価部会に居て、甲状腺への影響を調べるのは妥当なのか疑問である。
A:人選については県がお願いしているわけではなく、学会や団体から推薦してもらっている。
Q:県は人選の責任があるはず。バランスが取れていると思っているのか。
A:当初は先生同士のつながりで選んだ部分もあるが、今は広くお願いしている。各界の高名な先生、他の委員会、政府の意思決定にかかわる先生が重なることがある。その道の先生をお願いするとそういうことがある。
Q:今までも含めて人選に関して県民の支持が得られているとは思えない。人選が偏っている。信用が置けないという見方をしていることも知っておいていただきたい。
Q:検討委員会は傍聴者も多く、ネット中継によって全国の人が固唾を飲んで観ている。この点でも公平な人選を示してほしい。
検討委員の中には損害賠償裁判で国側の意見書に名前を連ねている人もいる。
  
<その他の質問>
出生数など
Q:県民健康調査課として以下のことは調べているのか。
①原発事故の前年(2010年)から2017年までの出生数。
②2010年~2017年までの、死産、流産に関して 妊娠初期~5か月までと5か月後から周産期までの数。
③2010年~2017年までの、出生後1年未満で亡くなった子どもの数。
   市町村別のデータがあれば。
④小学校入学時、普通学校に入学した子どもの人数と、特別支援学校、特別支援学級に入学した子どもの人数。
:①は把握している。②は把握していない。その他は確認したうえで回答する。

市町村ごとの検査結果の公表を
A:避難地域13市町村、浜通り、中通り、会津で集約した。
Q:それでは被曝線量の幅が広くなりすぎてデータを公表する意味が無くなる。
A:ガンないしガン疑いの人が減っているので、市町村だと個人が特定される恐れがある。
Q:地域差を隠蔽しているように見える。
Q:飯舘辺りから出たんでしょ。
A:そういう個別の議論を無くすために出せない。個人の人権に配慮しなければならない。
Q:名前を出さなければいいのではないか。
A:小さいコミュニティでは特定されかねないという危惧がある。
Q:出さないでほしいという意見は当事者からなのか、市町村としてなのか気になる。
A:意見ではなく危惧でやっている。
Q:数字的なものは公表しないのか。
A:数値を隠すということではなく、被曝と健康の関係を見るには個人的に見ないと、市町村で見てもわからないという議論がなされている。
Q:市町村ごとの数字を見ていると明らかに地域差が出ていたが、今後四地域にしてしまうと見えなくなってしまう。
                                                                



2018年2月5日月曜日

第10回福島県交渉報告

第10回福島県交渉は、人数制限(数名)と時間制限(1時間)メディアは入れないという条件付きのものとなったため、当日の話し合い内容を要約書き起こししました。
 
 
日時:2018131日(水)13:00~14:00 
場所:県庁本館5階会議室

<出席者> 

福島県県:・避難地域復興課 佐藤総括主幹、・避難者支援課 武藤副課長、

・生活拠点課 大橋副課長、小林副課長 ・原子力損害対策課

ひだんれん:村田、熊本、武田、武藤、今野 大河原(事務局)

=ひだんれん A=福島県

1.知事の1年の総括と今後の方針について (生活拠点課)

Q:回答が抽象的で中身がわからないので、質問2以降で具体的に聞くことにするが、

 「2000世帯に初期費用の支払いが行われている」の初期費用とは何か?

A:民間賃貸住宅の家賃補助の初期費用。


2.避難者の生活実態把握について  (避難者支援課)

Q:(1)の回答では個別調査や生活再建支援拠点での相談対応などにより状況把握するとしている。それはそれでやってほしいが、実態調査に対する回答にはなっていない。

A:アンケート調査も一つの方法だが、今は引き続き検討する。

Q:個別調査をするといっているが、今年の4月以降もやるのか?

A:4月以降もやる。

Q:戸別訪問をする福島県の駐在員は何人いるのか?

A:関東、山形など避難世帯が多いところ、各県1名ないしかけ持ちでやっている。大阪にも事務所があり関西圏を担当。全国で1011名。

Q:生活再建支援拠点での相談の中身は分析されているのか?

A:回答の相談件数1234件は上半期のもので、相談内容は住宅や生活に関するものの他、教育関係、近隣関係などもある。統計的なことはまとめていない。

Q:生活再建支援拠点を避難者対策の「柱」とするのであれば、相談を分析しそれに基づいて支援策を考えることが必要ではないか?

A:統計を活用するという意味では、生の情報を使っている。

Q:アンケートは何をクリアーできればやれるのか?

A:年度で結果を出すのは難しい。適切な把握の仕方は難しい。実効性のあるものとして検討していく。

Q:新潟県が「原発事故による健康と生活への影響に関する検証委員会」で避難生活に関する総合調査をしてアンケート結果を出している。
   質問項目が生活の実態が浮かび上がってくるものとなっている。福島県でもこれを参考にして是非やってほしい。

↓参考 「新潟県の避難生活に関する総合調査」



Q:前回11月の話合いの時に意向調査をやるともやらないともはっきりしなかったが、事務文書の開示請求をしてみると、昨年9月の段階ではやる方向で検討していたのに、何故やらなかったのか?

(参考:開示事務文書①~③)


A:このスケジュール通りにはいかない。

Q:来年度にやるのなら予算の計上が必要ではないか?

A:アンケートは事務的な経費として使えるので予算がなくてできないということはない。アンケート調査だけしかできない形ではなくやりたい。統計的に分かり易い形はその後になる。

Q:開示された文書⑤では支援される人のカテゴリーが整理されている。これによれば応急仮設住宅を出た人も対象者となっているがこの通りか?

A:このとおりで、同じようにやる。

Q:支援対象者は8万人と書いてあるが対象者の実態を把握するのに、全国で10人程度しかいない駐在員でできるのか? 新潟県がやったような、生活実態調査をしないと把握できないのではないか?

Q:どういう事情があって福島県はやらないのか?

A:マスで捉えた分析も必要ではあるが、一方では個別の対応もある。どちらにシフトを置くべきか、もう少し考えさせてほしい。

Q:どちらかではなく両方合わせて考えてほしい。

開示文書URL

① 2017927日 福島県避難者意向調査について1/2


② 2017927日 福島県避難者意向調査について2/2


③ 2017927日 福島県避難者意向調査スケジュール


④ 2017522日  区域外避難者の応急住宅供与終了後の支援について


⑤ 2017522日 避難者数と支援対象者の定義


 
Q:「避難者意向調査」と「住まいに関する意向調査」は何が違うのか?

(生活拠点課):応急仮設住宅の供与終了後どうするのか、終了前の年に確認するものが、「住まいに関する意向調査」である。それを元に戸別訪問をする。現在調査しているのは、小高など来年度で終了する地域。

Q:この項目に関して整理すると、来年度は意向調査を含めて予算を計上するということか?

(避難者支援課): 予算は言えないがそれも選択肢となるようやっていく

Q:新潟県や山形県のアンケートは参考にしてもらえるのか?

A:参考にする。

Q:今年度の生活再建支援拠点の相談内容をまとめて分析する予定はあるか?

A:ここ数か月では難しい。

 
3.住宅明け渡し調停・訴訟について (生活拠点課)

(1)国家公務員住宅の調停について

Q:調停について不調の場合は管理者である東京都と協議するとある。福島県が国家公務員住宅の継続見込み数160戸を借りることにした時点での財務省との契約内容を明らかにしてほしい。

A:160戸は見込み数ではなく意向調査をして、有償でも住み続けたいとした世帯数である。

Q:意向調査をする時点では、契約の概要しかわからなかった。だから4月以降契約しない人も出てきている。

A:特例として2年間の期間限定で延長したので、この間に生活再建に向けてやってほしいが、2年間でできない人に対しては戸別訪問で対応している。

Q:国と協議が不調な後で何があるのか?どうするのか?訴訟なのか?

A:家を探すという意味では、公営住宅などがある。

Q:今、調停にかけられている世帯の中には、都営住宅の応募要件の収入要件や世帯要件で外れた人がいる。応募要件を撤廃してほしい。また、調停にかけられた世帯に個別対応するのではなく、制度としてやらなければ解決にならない。

Q:それを福島県にやってほしい。

Q:国家公務員住宅について言えば、二つの問題がある。ひとつは家賃が払えない経済的な問題、もう一つは2年の期限が切れた後の見通しが立たないこと、それを調停で解決しようとしても無理である。

具体的な対応がないときめの細かい個別対応にはならない。

Q:契約を結べ、未払い分の家賃を払えというだけではなく、都の担当者を入れて都営住宅に入れるようにするなど、具体的な解決方法を仕組みとして考えてほしい。

A:前提が有償でも住み続けたいということだったので、法的措置ということになった。

Q:しかし、契約書の中身は示されていなかった。

Q:前提として納得したじゃないかというが、納得していなくてもそこしか住まざるを得ないからそうなっている。

A:我々も訴訟や調停はやりたくないが、対象者からの回答も何もなく、直接の話合いができないからこのような形になった。

Q:避難者は圧倒的に不利な立場で生活していることをわかっていてほしい。

 
(3)山形県の雇用促進住宅について (生活拠点課)

Q:被告弁護人から県に宛てた質問書が来ているはずだがどうか?

A:質問書については知らない。

Q:福島県が雇用促進住宅を機構から借り上げて提供していると確認した、201241日付の福島県知事と機構の理事長の公印が押された文書が裁判の資料として出てきている。県にもその文書は残っているはずで、変更されていないのであれば福島県が雇用促進住宅の提供主体ではなかったのか?

A:それがどういう位置づけになるのか、裁判の中ではっきりすると思う。訴訟に至るまでは機構側からの個別の取り組みはしている。

Q:裁判以外の解決方法は考えていないのか?福島県が山形県と話し合いをするなど、仲介を考えてもよいのではないか?

A:訴訟中ということでそれは難しい。


4.避難指示解除区域などの住宅提供について (生活拠点課)

 追加質問:東電が家賃賠償を打ち切った後、50億円の「寄付」をして、県の新たな制度を作るとしているが、その制度とはなにか?

A:20178月に福島県は9市町村(南相馬市、川俣町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村、飯舘村)の応急仮設住宅の供与期間を一部延長した。避難指示区域の世帯には東電の家賃賠償があったが、今年の3月で打ち切ることになっている。同じ地域から避難したのに、応急仮設住宅に入っている世帯は1年延長となり、東電の家賃賠償の世帯は1年早く打ち切りになるのは格差が生じるということで、東電の住宅賠償打ち切り世帯に対して1年延長のために東電が寄付をした。

Q:格差が生じるということであれば、区域内避難者だけではなく、既に大きな格差が生じている区域外避難者にもその考えを拡大してほしい。

Q:福島県が国に要求したのか、国が東電に要求したのか?

A:県と4町(浪江、双葉、大熊、富岡)が自民党本部(党復興加速化本部)に要望に行き、自民党が政府に要望し、政府から東電に要求した。

Q:国民の税金で賄っている東電が「寄付」するとはどういうことか、加害者である東電は賠償しなければならないのに。

Q:東電が賠償を続ければよいことなのに、なぜここにきて突然福島県が新しい制度を作ってやるということになったのか?

Q:県がこれをやるのならば、区域外避難者にも広げてほしい。

A:「検討します」と期待させることは言えない。区域外避難者は対象外である。


参考:民報1216日の記事「家賃賠償」新支援策を検討 政府と東電対応


 

Q:県がどうしたら(被害者のために)動きやすくなるのか、私たち被害者が何をすればよいのか、県と同じ方向を見ていることを知っておいてほしい。
 

 今後の話合いについての要望

今後も引き続き話し合いの場を設けてほしい。

・今回は人数制限と時間の制限があったが、他にも話し合うテーマは様々あり、他の被害者も参加できるよう、人数制限をしないで話し合う場も設定してほしい。

                                  以上

第10回福島県交渉 質問と回答

去る1月31日に福島県とひだんれんの話し合いが行われましたが、それに先立っての質問と回答を掲載します。

第10回福島県との話合い質問項目と回答はこちらをクリック

1. 知事の1年の総括と今後の方針について

昨年度末の区域外避難者への住宅無償提供打ち切り、帰還困難区域を除く  避難指示解除により、県内外の被災者・避難者を取り巻く環境が激変し、多くの問題が生じています。大震災・原発事故から8年目を迎えるにあたって、以下の点について内堀知事の見解をお聞かせ下さい。

(1)「区域外避難者に対する災害救助法適用の打ち切り、県の独自支援策  への切り替え」という知事の判断に誤りはなかったと判断されていますか。

(2)「独自の支援策」で、被災者・避難者の生活は守られていると判断されていますか。

(3)知事は日ごろから「光と影」と申されておりますが、「影」の部分の大きな問題は何だと認識されておりますか。

(4)「影」の部分に対する対策をどう検証され、対策を立てられますか。

(5)区域外避難者への家賃補助、避難指示解除区域からの避難者に対する住宅無償提供終了期限とされている2019年3月末以降の「支援策」の骨格に対する知事のお考えをお示しいただきたい。

<(1)~(5)回答>

・避難指示区域以外からの避難者への供与については、除染の進捗、食品の安全性の確保等、生活環境が整いつつある中、応急救助という災害救助法の基
本的な考え方から、これ以上の延長は困難と判断し、平成29年4月以降は、災害救助法による住宅の供与から、県独自の支援策に移行することにいたしまし
た。

・低所得者や母子、父子避難による二重生活世帯については、収入要件を緩和するなど、避難されている方々の自主再建に向けた経過措置として実施し、これまで約2,000世帯に初期費用の支払いが行われております。

・解決すべき様々な課題を把握し、市町村や国、関係機関と連携して対応していく考えであります。


2. 避難者の生活実態把握について

 (1)住宅無償提供打ち切り後の避難者の生活実態調査の実施計画(実施時期、規模、主な内容等)を、具体的にお示しいただきたい。

<回答>

・復興支援員等による戸別訪問や生活再建支援拠点での相談対応などにより避難者の状況を把握していくとともに、避難者の生活実態把握にどのような方法が効果的かについて、引き続き検討してまいります。


(2)昨年12月23日に東京国際フォーラムで開かれた避難者交流会で、内堀知事は、避難者の意見を受けて「実態把握は必要」と述べ、対応する姿勢を示されました。知事からの指示はあったかどうかお知らせ願いたい。

<回答>

・支援を必要とする方々の把握とその支援については、以前から重要なことであると認識しております。


 (3)実態調査については、被害者3団体として調査に入れていただきたい項目を具体的に提案する準備ができていますが、受け入れていただけるかどうかの返答をいただきたい。


<回答>

・上記2(1)のとおりです。


 (4)同じ席で、吉野復興大臣も同趣旨の発言をされたうえ、「福島県と協力して全避難者の個別訪問をやって実態を把握したい」と言っておられたが、具体的な計画はあるのかどうかを教えていただきたい。

<回答>

・復興支援員や支援団体などが行っている戸別訪問等について、今後も継続的に実施できるよう、財源を含め国と連携して施策を講じてまいります。


 (5)復興庁、福島県とも避難者対策の「柱」とされている「復興支援拠点」の活動実績を明らかにされたい(今年度の予算、相談件数、相談内容の分析など)。

<回答>

・生活再建支援拠点事業等の今年度当初予算は222,045千円、相談件数は1,234件(29.10月末現在)、相談内容は、住宅等の相談や生活に関する相談が多い状況です。


3. 住宅明け渡し調停・訴訟等について

 本年4月以降も仮設住宅に住み続けている世帯に対する明け渡し請求などの調停・訴訟について、以下の点を明らかにされたい。

(1)12月議会にかけられた国家公務員住宅の5世帯について

  ①対象者には事前通知をされたか。

 ②契約書の内容を説明して納得を得たか。(※追加質問の予定あり)

  ③対象者の生活実態について把握されているか。

 ④調停不調の場合は訴訟に移行するのか。

 ⑤福島県管轄以外については避難先自治体の判断・対応に任せるのか。  


 <回答>

①職員が直接訪問し、お会いできた方には契約を締結していただきたい旨を説明するとともに、今後、法的手続きを取る可能性のあることを文書の手交と共にお伝えしております。また、不在だった方へは、ポストに投函させていただいています。

②今回対象となっている方々からの質問はありませんが、引き続き丁寧に説明してまいります。また、不在だった方からの質問もいまのところ寄せられておりません。
③面談や電話でお話を伺えていない方に関しては、話し合えないことから、生活状況について伺う機会や相談を受ける機会もない状況にあります。

④できる限り調定により解決を図りたいと考えていますが、不調の場合には、管理者である国と協議してまいります。

⑤これまで戸別訪問等連携して行ってきたことから、引き続き避難先自治体と連携して対応してまいります。


(2)同様12月議会にかけられた4世帯について

  ①対象者の家族構成と住宅種別。

  ②提訴判断に至った経緯と理由と提訴場所・日時。

  ③県議会での論議内容。


<①~③回答)>

訴えの提起

    議案第100号 A 建設型仮設住宅

    議案第102号 B 借上げ住宅

    議案第103号 C 借上げ住宅

   民事調停の申立て

    議案第104号 D 建設型仮設住宅

 (※訴状の提出場所については、今後弁護士と相談しながら決定されていくこととなります。)

・既に避難前の自宅に戻られたものの、引き続き応急仮設住宅を倉庫代わりに使用し、退去手続きに応じていただけない方や、面談の約束をした上で訪問してもその約束を反故にされたり、面談の際に声を荒げたり、脅しに近い態度を取るなど、本人との信頼関係が築けない方、持論の主張が強い方等、これ以上話し合いによる進展が見込めないことから解決を図るためやむを得ず、訴訟や調停などの法的措置を取らざるを得ないと判断いたしました。

・この件に関し議会の承認を図るため議案を上程し前述の内容を議会に対し説明を行い、選定した理由などについての議論が交わされ、訴えの提起や調定の申立を行うことについて承認を得たところです。


(3)山形県の雇用促進住宅について

  ①国または提訴した独立行政法人との事前・事後の協議の有無。

 ②福島県の見解。

 ③改めて福島県が話し合い仲介をする意思はないか。

<①~③回答>

・県としても住宅を提供してきた機構等と連携し、戸別訪問等を通して対応してきたところですが、これまでの当事者間の話し合いの経過を踏まえ、これ以上の進展が見込めないとして機構が判断したものと考えております。

・また、双方が訴訟代理人をたて現在係争中であることから、県が仲介に入ることは難しいと考えております。


(3)その他の住宅居住者について

 ①今後も明け渡し訴訟や調停などの法的措置を取る方針か。

<回答>

・現在も未退去者に丁寧に対応していますが、当事者間での話し合いが見込めない場合は、法的措置として、第三者たる裁判所に介入していただくなど適切に対処してまいります。


4. 避難指示解除区域などの住宅提供について

(1)提供打ち切りを予告されている平成31年4月以降の支援策の検討状況をお聞かせいただきたい。

<回答>

・避難者の意向を戸別訪問等の実施により確認するとともに、避難者住宅確保・移転サポート事業につなぐ等引き続き住宅が確保出来るよう取り組むとともに、情報提供事業や相談対応業務を通して、必要な情報や活用できる支援策の提供に努めるなどを検討してまいります。

 (2)支援策の主な内容、予算措置、周知の時期についてお聞かせいただきたい。

<回答>

・上記4(1)のとおりです。

 (3)帰還困難区域からの避難者に対する県独自の支援策についてお聞かせいただきたい。

<回答>

・復興公営住宅の整備など


5. 「緊急要求」について

前回の話し合いの際に提出した被害者団体連絡会(ひだんれん)の緊急要求に関して、以下の点を明らかにされたい。

(1)住宅に関する5項目の検討結果をお聞かせいただきたい。

<回答>

ア 区域外避難者への住宅無償提供について

  ・応急仮設住宅の供与については、上記1(1)のとおりです。

 なお、県では、帰還や避難の継続を自らの意思で選択できる支援として、引っ越し支援や民間賃貸住宅等家賃への補助を行ってきたところです。

イ 区域外避難者への実態調査を行い、精神的、身体的、経済的困難の即時解消と損害の回復措置を講ずることについて

 ・実態調査につきましては、上記2(1)の回答のとおりです。

ウ 福島県は、2013年以降の避難者に対しても住宅無償提供を行うこと

・上記1(1)のとおりです。

 エ 避難指示解除地域の避難者の実態調査を行い、全ての避難者に対する住宅の無償提供を継続すること

 ・実態調査につきましては、上記2(1)の回答のとおりです。

 ・住宅の無償提供:上記1(1)のとおりです。

 オ 被害当事者団体との協議機関を設け、今後の避難者住宅政策を早急に確立すること

 ・当事者団体からの御意見・御要望については、これまでもお話を承る場を設けてきたところであり、引き続き民間賃貸住宅等家賃補助事業の実施や公営住宅の確保などを通じ取り組んでまいります。


(2)要求(2)の「損害回復」に関して、福島県のできる当面の措置として民間賃貸 住宅の家賃補助の継続・延長・増額はできないか。

<回答>

・県による民間賃貸住宅等の家賃補助は、避難の継続が必要な世帯に対して支援を行うことにより、応急仮設住宅の供与期間終了後に円滑に生活再建を図っていただくための経過措置です。

・平成27年6月に発表した応急仮設住宅の供与期間の1年延長と、補助事業の実施期間2年を合わせた計3年間で、将来の再建の見通しを立てていただけるよう支援をさせていただいております。


(3)同(5)の「協議機関」について、まず福島県が率先して設けることはできないか。

 <回答>

・上記5(1)オのとおりです。


6. 家賃補助について

家賃補助について、最新の状況をお聞かせいただきたい。

(1)申請受付件数、交付決定通知件数、決定の内訳(交付、却下、審査中)。

<回答>

・平成29年12月末時点の状況は、以下のとおりです。

申請受付件数     : 2,118件

うち、審査対象     : 2,081件

交付決定等通知     : 2,073件

…交付決定 1,995件、補助対象条件外等 78件

審査中 : 8件

(2)収入要件ではねられた件数と、主な内容(どの程度のオーバーが多かったのか、ボーダーラインに近いものがどの程度あったのか、など)

<回答>

・収入要件超過件数 : 34件(却下1件を含む。)

  世帯構成員が複数人いて、世帯の所得が収入要件(月額21万4,000円以下)を超えていた事例などが挙げられます。

(3)今後の見通し(申請が続くか、一段落とみるかなど)  

 <回答>

・直近の交付申請は月に10件程度となってきており、交付決定世帯数が、当
初見込んだ2,000世帯程度となっている状況を踏まえると、申請は落ち着い
てきたものと思われます。


7. 前回からの持ち越し

(1)司法判断に対する対応検討体制と進捗状況

  前回の話し合いで担当課は原子力安全・損害対策室を中心になると伺ったが、「生業判決」に対する分析、政策への反映などの具体的検討はどこまで進んでいるか。

 <回答>

・生業裁判については、係争中であることから、今後の状況を注視してまいる考えであります。

・原発事故への対応は、原子力安全規制を一元的に担ってきた国と事故の原因者である東京電力の責任において、将来にわたる様々なリスクを想定し、安全かつ着実に廃炉を進めることが本県復興の大前提であると考えております。

・また、国と東京電力においては、被害者それぞれの立場に立った賠償を迅速かつ的確に行うこと、避難を余儀なくされた被災者の生活再建へ支援を確実に行うことなど、地域が抱える課題の一つ一つに真摯に向き合い、責任を全うするよう、あらゆる機会を捉えて求めてまいります。

                                        <以上>   

<福島県交渉>第29回県交渉質問事項及び回答

ひだんれんと、避難の権利を求める全国避難者の会、避難の協同センターの3団体は、29回目となる福島県交渉を行いました。 開催日時:2023年8月15日(火) 14時~15時 開催場所:オンライン 参加者: <福島県> ・原子力安全対策課:水口昌郁 主幹兼副課長 ・原子力安全対策...