国と県は勝手に決めるな! 被害者の声を聞け!
住宅支援・区域指定・賠償の継続を求める福島県民集会&県申入れ行動
原発事故被害者団体連絡会(略称:ひだんれん・16団体約25.000名)は、午前11時、福島テルサで、「国と県は勝手に決めるな! 被害者の声を聞け!『住宅支援・区域指定・賠償の継続を求める福島県民集会』」を開催しました。
平日にもかかわらず120人の参加者がありました。集会では各団体から裁判の報告と共に、国や県が支援の打ち切りの方針を打ち出していることへの抗議の言葉が次々と飛び出しました。
その後、福島テルサから福島県庁まで、猛暑の中を40分かけてデモ行進を行いました。「国と県は勝手に決めるな!」「被害者の声を聞け!」「住宅支援を打ち切るな!」「賠償を打ち切るな!」「福島県は国に立ち向かえ!」「帰還を強要するな!」「子ども・被災者支援法の理念を守れ!」「県は県民を守れ!」とアピールしました。
午後1時からは県庁となりの自治会館会議室で、県庁避難地域復興局の避難地域復興課、避難者支援課、原子力損害対策課の各責任者らと交渉を行い、福島県知事に対して、下記要請書を提出しました。
県の担当者からは「国が安全だというから」「避難地区を決めるのは私たちではないので」「住宅支援に代わる新しい支援策は検討中。決まり次第、公表」といった回答が飛び出し、被害自治体の自覚が薄れていっているように感じました。「公聴会を開いて被害者の声を聞いてほしい」「内堀知事と直接面談したい」という要望には否定的な回答でしたが、諦めることなく、これからも要望してまいります。
福島県知事 内堀雅雄 殿
住宅支援・区域指定・賠償の継続に関する要請書
知事は6月15日、原発被害避難指示区域外からの避難者に対する住宅の無償提供を2017年3月で打ち切ることを決定、発表しました。これに先立ち、安倍内閣は同月12日、「避難指示解除準備区域」「居住制限区域」の指定を2017年3月までに解除し、東京電力の精神的損害賠償も2018年3月に打ち切るとの内容を主とする「福島復興加速化指針・改訂版」を閣議決定しました。また復興庁は7月10日、「避難指示区域以外からは避難する状況にはなく、支援対象地域は縮小または撤廃することが適当」とする「原発事故子ども・被災者支援法」の基本方針改定案を発表しました。
いずれの決定や改定案も、被害者の置かれている実情、県内の被害回復の現状を軽視した、合理性を欠くものであり、撤回されるべきものです。
とりわけ、住宅無償提供の打ち切りは、苦境に耐え、自立を目指す避難者の「最後の命綱」を絶つに等しく、人道上も認め難いものです。その決定経緯も、災害発生以来4年余、被害者をはじめ国内外の心ある人々、法曹関係者、学者・文化人らが多くの署名、声明、集会などで訴えてきた声に真摯に耳を傾けたものとは到底言えません。
福島の復興は、全県民の願いです。しかし、被害の実情を覆い隠し、被害者を切り捨てるものであってはなりません。被害者が自らの意思で望む暮らしを取り戻す「人間の復興」こそが、真の復興を成し遂げる道です。
本日「住宅支援・区域指定・賠償の継続を求める福島県民集会」に参集した被害者・支援者の総意として、以下の各項を要請し、8月27日までに文書での回答を求めます。
記
1.住宅無償提供に関して
(1) 知事は、避難者の実情を直接、丁寧に聴く場を早急に設けること
(2) 区域外避難者への住宅無償提供を2017年3月までとする決定を撤回し、国に対し長期無償の避難住宅の提供を要求すること。
(3) 避難者の代表を含む第三者委員会を設置し、今後の対応を検討すること
2.避難指示区域の解除・賠償打ち切りに関して
(1) 知事は、県民の代表として国に対し、「2017年3月までに避難指示解除」とする終期の撤回を求めること
(2) 避難指示の解除は、住民の意見を尊重し、強行実施はしない旨の確約を国に求めること
(3) 2018年3月とする精神的損害賠償の終期を撤回し、誠意をもって対応するよう、国・東電に申し入れること
3.「原発事故子ども・被災者支援法」基本方針改定案に関して
(1) 知事は、支援法の基本方針改定案について撤回するよう国に申し入れること
(2) 支援対象地域を拡大するよう国に申し入れること
(3) 「支援法」の立法精神に立ち返り、被災者に寄り添った施策を国に求めること
2015年7月27日 原発事故被害者団体連絡会(ひだんれん)
■「子ども・被災者支援法」を追記部分に添付しました。
「この基本理念を守れ」と国に要望するのが福島県の役目ではないでしょうか。