2016年10月30日日曜日

ひだんれんと原発被害者訴訟全国連共同の第4回県交渉報告


福島県との第4回交渉は、10月24日(月)午前10時から福島市の自治会館で行いました。

 今回も住宅無償提供打ち切り問題に絞り、6テーマ28項目の質問を事前に提出、県の回答を基に2時間15分にわたって突っ込んだ話し合いになりました。

主なテーマと話し合いの結果は以下の通りです。

  福島県への質問に対する回答はこちらをクリック

 


. 福島県の「支援策」の問題点と現況

  住宅確保見込みは、わずか1割

   県が把握している状況では、6月末現在の入居者数約9,720世帯に対し、「確保見込み数」は福島県、東京都、神奈川県など6県と雇用促進住宅併せて1,140戸(9月末現在)。東京、神奈川など有効な実数を超える見込みを含んでおり、実数は1,000戸を切っています。

   打ち切り通告期限まで半年の段階で、確保された住居は1割にも満たない実態が明らかになりました。このような状況の下で来年3月退去を迫っていることは、絶対に許されることではありません。

 ❷都道府県からの要請は「聞き置いた」だけ

   福島県は昨年11月、受け入れ都道府県に対し「打ち切りに伴って必要になる国への要請事項」についての意見を集めていながら、国への要請はおろか、分析すらしていなかったことが明らかになりました。

  都道府県からの要請には、公営住宅の特定入居や財政支援などの重要な項目が含まれていたにも関わらず、「各都道府県の交渉や支援策の検討状況の参考にしております」との回答でした。




 ❸「特定入居」は国の同意を得ている

    公営住宅入居に際して公募などの条件を外して入居を認める「特定入居」について、「福島県は2011年3月12日付国交省課長通達に基づいて国の了承を得ており、受け入れ都道府県にも適用を要請している」と断言。「区域外避難者には認められない」とする国交省の見解を事実上否定しました。

 . 家賃補助について

 ❶「放射能への不安」県内避難者への除外は撤回

民間賃貸住宅に移る際の家賃補助について、県は9月14日付で「補助金交付要領」を発表。補助の対象として「放射線への不安」を対象要件として認めながら、「ただし書き」で県内避難者は対象外としていました。

 「放射線への不安」に対して県内、県外を分けることの不合理性を厳しく追及した結果、県は「県内避難者を除外する意図はない」と認め、要項の「ただし書き」を修正することを約束しました。

 ❷「予算の枠で切ることはしない」

 「補助金交付要領」には「知事は交付申請の期限前であっても、予算の関係から補助金交付申請を終了する場合がある」との規定があることを追及した結果、「予算の枠がいっぱいになったからといって、受付を切ることはしない。何らかの対応策を考える」との回答を得ました。

2. 県内避難者」の問題

 ❶プレハブ仮設からの追い出しはしない

   県内の打ち切り対象者は6,624世帯・16,492人(昨年10月末現在)。説明会の実施状況については明快な回答はありませんでしたが、「一人ひとりを戸別訪問して事情を聴き、課題に対応するとともに生活再建が図られるよう取り組んでいる」との回答。プレハブ仮設入居者は高齢者の方が多く、通院などの関係で住み続けざるを得ない人が多い事実をあげ、「条件が整わないうちに追い出すことはするな」と強く要求した結果、「無理な追い出しはしない」との回答を得ました。

 ❷避難指示解除後の提供期限は「2年」ということではない

    楢葉町の住宅提供が「平成30年3月末」とされていることに関して、「提供打ち切りは避難指示解除後2年をめどにするのか」と問い質した結果、「住居確保などの状況を見ながら判断していく」との回答。「2年」が打ち切りの基準ではないことを確認しました、

. 健康調査の問題

 ❶子どもの甲状腺がん

   「総合的に判断して放射線の影響とは考えにくいと評価されている」「検査についてはより丁寧な説明を行うとともに、相談体制を充実させていく」という型どおりの回答に終始しました。今後も詳細に詰めていく必要があります。

 ❷大人の白血病などの増加

 大人の甲状腺がん、白血病などの健康障害が多発していることへの見解については、「増加しているとの結果は確認できない」と断定的な回答。根拠を示すよう追及していくことにしています。

 . 内堀知事の対応

  内堀知事が米国シンクタンクで行った講演で、「放射線への判断は個人によって違う。避難指示が解除されたからと言って、直ちに帰還を求めるものではない。解決には時間がかかる」との趣旨を述べている録画音声を再生。「なぜ、これを被害者の前で言えないのか」と、知事の出席を重ねて強く要求しました。

知事の出席については、11月末から12月初めにかけて、集中的な要請行動を計画しています。
内堀知事がニューヨークで話す動画を示し、「わたしたち被害者の前に出てきて同じ内容で話してほしい」と訴える、原発賠償京都訴訟原告団の宇野朗子さん。



第4回県交渉全編を伝える、UPLANの動画 はこちら。

https://www.youtube.com/watch?v=gStr-sRv5Lk


当日の交渉を詳細に伝える「民の声新聞」はこちら。



UPLAN三輪祐児さん、 「民の声新聞」鈴木博喜さん、ありがとうございます。
  


  






2016年10月17日月曜日

原発事故避難者の住宅無償提供継続を求める 福島県との第4回交渉と質問内容


来たる10月24日に第4回の県交渉を行います。今回は受け入れ都道府県が国への要望を福島県のアンケートに書き込んでいたにもかかわらず、国に提出していなかった不作為の問題や、県内の仮設や借り上げ住宅の無償提供打ち切りの問題などを事前質問として提出してあります。
国と県の原発事故被害者の切り捨てを許さず、住宅の無償提供継続を求めていきます。


 
今回の質問内容はこちらをクリック


追加質問はこちらをクリック
 

 日時:10月24日(月)10:00~12:00

 場所:中町会館6階北会議室

 

  交渉に参加する方は必ず事前打ち合わせにご参加ください。

 当日9:00~9:40 自治会館(福島県庁西隣)1階ロビー

 

問合せ先:原発事故被害者団体連絡会 (ひだんれん)

電話 080-28059004 

Eメール hidanren@gmeil.com

 

2016年10月8日土曜日

福島県知事へ 「県民健康調査の目的に沿った調査と検査の継続と拡充を求める」 要望書を提出しました。


福島県知事 内堀雅雄 様

 

要 望 書

2016107

                         原発事故被害者団体連絡会

                              共同代表 長谷川健一  

同   武藤類子

 

 県民健康調査の目的に沿った調査と検査の継続と拡充を求めます。

 
 県民健康調査の目的は「東電福島第一原発事故による放射性物質の拡散や避難等を踏まえ、県民の被ばく線量の評価を行うとともに、県民の健康状態を把握し、疾病の予防、早期発見、早期治療につなげ、もって、将来にわたる県民の健康の維持、増進を図る」と要綱に記されています。

  9月14日の第24回「県民健康調査」の検討委員会で、2巡目の健診で悪性または悪性疑いと診断された子どもは、前回より2人増え59人、また手術をして甲状腺がんと確定したのは4人増え34人となり、1巡目と2巡目をあわせた数は、甲状腺がんの悪性または悪性疑いが174人、手術を終えた人が136人で、1人をのぞく135人が甲状腺がんと確定したと発表されました。

 これに先立つ825日、福島県小児科医会は現行の甲状腺検査によって「被験者、家族のみならず一般県民にも不安が生じている」とし、同意を得られた人のみの検査とするよう、規模の縮小を求めて福島県に要望書を提出しました。それに対して「311甲状腺がん家族の会」や国内外120を超える市民団体からは、検査を縮小せず、むしろ拡充してほしいという要望書が提出されました。

上記小児科医会の要望書提出のニュースの後で、当団体より検査の縮小に関して県民健康調査課に問い合わせたところ、県としては縮小の方向では考えていないとの回答でしたが、福島県からの「甲状腺検査のお知らせ」には3巡目の検査から検査の同意書に「同意しません」という欄が新たに設けられており、また、「検査1回目の受診の有無や検査結果にかかわらず、受診することをおすすめします」という文言も削られていました。小児科医会が縮小を要望する前に、福島県としても縮小の方針が立てられていたかのような案内です。

 しかし、第24回検討委員会では、委員の多くから「二巡目の検査の評価が出るまで検査縮小の議論はすべきではない」「チェルノブイリの例では45年から低年層の甲状腺ガンが急増することが観察されているので、実はこれからだ」「この検査は非常に特殊な事態の中で、非常に意味のある調査である」「最初は放射線の影響は考えにくいという報告をしたが、今は懸念がある。放射線の影響を考慮しながら検証していくべき」などの意見が述べられ、検査の拡充と継続が確認されました。

 
 926日、27日は日本財団主催の東京電力福島第一原発事故による健康影響などを議論する第5回国際会議が開かれ、今回のテーマは福島県で多発している甲状腺がんについてでした。参加したIAEAUNSCEARWHOなどの国際機関メンバーらは、福島原発事故では、事故によって放出された放射性ヨウ素の量がチェルノブイリ原発事故の10分の1であることなどから、「福島はチェルノブイリとは違う」と強調し、福島県で実施されている小児甲状腺検査で多数のがんが見つかっていることについて、「過剰診断」が起きていると指摘しました。

  しかし、福島の子どもの多くを執刀している福島医科大の鈴木眞一教授は、詳細な手術症例を報告し、125例のうち5例を除く121例が、1センチ以上の腫瘍かまたはリンパ節転移があると説明し、「過剰診断」とはほど遠い治療実態を明らかにしました。また、片葉を摘出した患者の中に、再発しているケースがあることも公の場で初めて認めました。

  チェルノブイリ原発事故後、ベラルーシでは30年経った現在でも検診を続けています。福島県では原発事故から5年の時点で、福島医科大学の医師や、小児科医会から甲状腺がん検診の縮小の提言や要望が出ていることに、また、福島県が縮小の傾向を見せていることに、私たちは原発事故の被害者として非常な危機感を抱いています。

 
 先入観や過去の原発事故のデータにとらわれることなく、東電福島第一原発事故後で被曝した被害者の実態に真摯に向き合い、県民健康調査の本来の目的に立ち返って、県民の健康状態を把握し、疾病の予防、早期発見、早期治療につなげ、将来にわたる県民の健康の維持、増進を遂行していただけますようお願いいたします。

 

              要 望 事 項

 

1.県民健康調査の甲状腺がん検査は縮小せず、広く県民に周知して拡充、継続すること。

 

1.県民健康調査では、甲状腺がんに限らず検査項目を増やし、検査のスパンを短くして、県民健康調査の本来の目的に立ち返り、県民の健康状態を把握し、疾病の予防、早期発見、早期治療につなげ、将来にわたる県民の健康の維持、増進を遂行すること。


   要 望 書

<福島県交渉>第29回県交渉質問事項及び回答

ひだんれんと、避難の権利を求める全国避難者の会、避難の協同センターの3団体は、29回目となる福島県交渉を行いました。 開催日時:2023年8月15日(火) 14時~15時 開催場所:オンライン 参加者: <福島県> ・原子力安全対策課:水口昌郁 主幹兼副課長 ・原子力安全対策...